スプリントの振り返り大全 〜 チームに最適な手法を見つける15のレトロスペクティブを振り返る

開発の現場で試した15の振り返りフレームワーク

はじめまして。株式会社イノベーター・ジャパンでフロントエンドエンジニアをしている、うじた@besburgです。弊社ではスクラムによる開発を取り入れており、スプリントの最後には毎回スプリントレトロスペクティブという振り返りを行っています。そこで試した振り返りの手法をこの記事ではまとめてみました。

私たちのプロジェクトではタスクの優先度に入れ替わりが多く、今やっていることを可視化するため、2021年8月からスクラムを開始しました。参加メンバーは各プロジェクトのエンジニア全員で、スプリント期間に合わせて1週間ごとに振り返りを行っています。スクラムによる開発が初めてだったこともあり、当初は自分たちに合った手法を見つけることを目標に振り返りを進めました。

週ごとにメンバーが交代でファシリテーターを担当し、試したい振り返り手法を持ち寄ってレトロスペクティブを行いました。そのため基本的には振り返り手法を毎週変えていましたが、最終的に採用したFDLや、試してみてやりやすかったYWTやKPTなど、自分たちに合ってそうだった手法は何回か試してみました。

その結果を以前、弊社のエンジニアブログで振り返りをいろいろ試してみた感想として簡単にまとめました。ここではブログに掲載しなかった手法も含めて、それぞれの振り返りの所感や説明、そして自分たちに適した手法を見つけるまでの過程で実施した、計15の振り返りを紹介します。

※振り返り手法の掲載順は、必ずしもチームで実施した順番ではありません。また、いくつかの手法では実施した際に項目を整理した図の画像も掲載しています。

1. YWT - やったこと・わかったこと・次にやること

株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)が、1990年代に開発した「技術KI計画」によるKI活動の中で生み出された手法。次のYWTをシートに整理して、振り返りを定期的に実施する。

  • Y - やったこと
  • W - わかったこと
  • T - 次にやること

詳細は、JMAC公式の用語集から「YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)」を参照。

会話が生まれやすくチームの振り返りだと感じられる

私たちのYWTでは、Y(やったこと)の共有で「他のメンバーが実施したことでもOK」というルールで進めました。このため自然とチームメンバーに感謝する場になり、自分が気にせず進めたことを、他のメンバーの共有によって再認識できました。W(わかったこと)も、他のメンバーのYをもとに書いてOKとしました。メンバー間の会話が生まれやすく、チームで振り返りをしていると感じられるのが良かったです。

T(次にやること)では、出た中から1つ2つを選んでアクションを具体化しました。振り返りで共有したことを思い出しながら、Tryを意識してスプリントを進められるのは、振り返りを継続的に行う効果が大きいと感じました。Tryを最後に考えることで、次にやりたいことが発見できるポジティブな振り返りだと感じました。

YWTを実施した様子
次にやること(Try)を次の振り返りでも意識してスプリントを継続できる

実践例などの参考リンク

具体的な「ふりかえり」のやり方を解説した書籍『アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック』でも紹介されている。

2. KPT - Keep Problem Try

ソフトウェア開発を含むさまざまな活動の実施後に、次の3つからなるフォーマットに沿って知見を整理する思考フレームワーク。

  • K - Keep / できたこと・継続すること
  • P - Problem / 改善するべき問題点
  • T - Try / 挑戦したいこと

アジャイル開発の創始者の1人であるコンピューター科学者のアリスター・コーバーン氏の著書『アジャイルソフトウェア開発』で紹介されていた「反省会の出力サンプル(Sample poster from reflection)」をもとに、永和システムマネジメントが2000年代前半からKPT(けぷと)として顧客企業との「ふりかえり」で使用した。

よく知られた手法だけに淡白にならないよう

KPTは有名な振り返り手法なだけあって、チームメンバーでやったことのある人がいたり、実践したチームの話もたくさんあって、振り返りのイメージがつかみやすくスムーズに進行することができました。

しかし、スムーズに進むだけに、振り返りが淡々と行われがちになる点には気をつけないといけないかもしれません。アイスブレイクなど、自分達のチームに合ったひと工夫を加えないと、あまり積極的な発言もない静かな振り返りになりそうでした。

KPTを実施した様子
メンバーにもよく知られていたKPT

実践例などの参考リンク

書籍『ふりかえりガイドブック』で紹介されているほか、専門の書籍も刊行されている。

天野勝『これだけ! KPT』(すばる舎、2013年)

3. タイムライン+KPT

タイムラインは、長期のイテレーションやプロジェクトを振り返る手法で、期間内に起きたことや感じたことを時系列に沿って書き出して、チームで共有する。ThoughtWorksのテクニカルプリンシパルコンサルタントを務めたパトリック・クア@patkua氏のブログに紹介されている。

これをKPTと組み合わせることで、長期にわたるKeepとProblemを整理することができる。

時系列があるとKeepやProblemを出しやすい

KPTタイムラインでは、横軸にスプリント期間の時系列を表して、上半分にKeepを、下半分にProblemを挙げていきました。Tryについては、前回のスプリントで挙げた項目が実行できたのか? 結果はどうだったのか? を確認してから新しく出すようにしました。

時系列があった方が、KeepやProblemが出しやすいと感じられました。逆に、スプリント期間以外で感じたことなどは、時系列に縛られることで共有しにくくなるのがデメリットだと思われます。

実践例などの参考リンク

タイムラインは、書籍『ふりかえりガイドブック』や、さまざまな「ふりかえり」の手法を解説した書籍『アジャイルレトロスペクティブ』でも紹介されている。

4. FDL - Fun/Done/Learn

次の3つの丸を重ねた図をボードに書き、振り返りの結果を付箋で貼り付けて整理する。

  • Fun - 楽しかったこと
  • DoneまたはDeliver - 価値を届けられたこと
  • Learn - 学んだこと

2018年10月に開催された「Scrum Coaches Retreat in Okinawa」で提唱された手法で、詳細を作者の安井力@yattom氏が次の記事で解説している。

楽しく振り返りをするのに最適

FDLは、楽しく振り返りをするのに最適な手法です。学んだこと、楽しかったこと、価値を届けられたことをベン図に付箋で貼り付けていき、1人ずつ発表する形式で行いました。

Learnを共有することで、チームメンバーの新しい気づきにつながったり、学んだことをさらに深掘りして話したりできたのがよかったです。付箋が多いところや少ないところに注目して、視覚的に振り返りを行える点も、振り返りに慣れていないチームでも試しやすい手法だと思います。

FDLを実施した様子
楽しかったことを共有できる暗くならない振り返り

実践例などの参考リンク

書籍『ふりかえりガイドブック』でも紹介されている。

5. 学習マトリックス(Learning matrix)

マトリックス上で次の4つの領域に分類して振り返りを行う。

  • 🙂 - Good / よかったこと
  • 😞 - Change / 変えたいこと
  • 💡 - Idea / 新しいアイデア
  • 💐 - Thanks / 感謝

振り返りプラットフォームNeatro共同創業者のジュリアン・ヴァレンテ氏が手法を具体的に紹介している。

メンバーの助け合いが可視化できる

学習マトリックスには「感謝」という項目があり、チームメンバーにお礼をしたり、リモートでは分かりづらいチームメンバーの助け合いが可視化できるのがよい点でした。私たちの振り返りはエンジニアのメンバーだけで行っていますが、感謝の項目にはエンジニア以外のメンバーへの感謝も出てきて、いろいろなチームの協力でプロジェクトが進められていることも再認識できました。

学習マトリックスを実施した様子
エンジニア以外のチームへの感謝や協力も可視化された

実践例などの参考リンク

書籍『アジャイルレトロスペクティブ』でも紹介されている。

6. SSC - Start Stop Continue

振り返りの際、チームメンバーに「何を始め、何を止め、何を続けるか」を確認する。非効率だったり時間を浪費していることを止められる点が特徴。

  • START / 始めること
  • STOP / 止めること
  • CONTINUE / 続けること

スクラム・アライアンスの創業者であるマイク・コーン氏が、お気に入りの方法として具体的に紹介している。

スプリントごとの改善を意識しやすい

SSCは、スプリントごとの改善を意識して行いやすい手法です。始めにチームでSTOPを出し合うことで、次のスプリントから止めることを明確にできたのはよい点でした。しかし、止めることを毎回出していくのはけっこうたいへんなので、スプリントの期間が短いと続けるのが難しそうな印象を受けました。

実践例などの参考リンク

NETFLIX社のオープンな社風を表すエピソードとして、チームメンバー間で「止めてほしいこと、始めてほしいこと、続けてほしいこと」をフィードバックしたと、パティ・マッコード著『NETFLIXの最強人事戦略(櫻井祐子 訳、2018年、光文社)で紹介されている。

Miroには「スタート、ストップ、コンティニュー」のテンプレートがある。

7. 象、死んだ魚、嘔吐 - Elephants, dead fish & vomit

企業やチームが抱えている課題を、異なる3つの観点から見つける。課題や懸念をあえて共有することで、スルーしがちな問題に気づくことができる。

  • 象 ... とても大きく、みんなが見て見ぬふりをしている問題
  • 死んだ魚 ... 放置しているとまずいことになる問題
  • 嘔吐 ... 胸の中に隠していること

バケーションレンタル(民泊)サービス世界最大手のAirbnbが創業当初のコミュニケーションの危機を乗り切るために導入した(参考リンクを参照)。次のブログにも詳細が紹介されている。

漠然としたことや言語化できていないことを共有

「象、死んだ魚、嘔吐」は、普段から感じている問題点や、言いづらいことなどを共有するのに適した手法だと思います。他の手法と比べて、スプリント期間の具体的な問題というより、チームや企業文化に対して漠然と感じていること、うまく言語化できていないことの共有が多くなるので、毎日の朝会のどこかで取り入れるのがいいかもしれません。

私たちのチームがこの方法を試した際には、問題に対するアクション(Try)を出さないと、改善につながらないと感じました。そのためこの手法で問題を把握した後に、チームメンバーでアクションを考える時間を用意するといいかもしれません。

実践例などの参考リンク

リー・ギャラガー著『Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法』の第7章では、創業者のジョー・ゲビアが「わるい知らせ」をフィードバックしてもらうツールとして積極的に活用する経緯や成果が紹介されている。

8. ORID Questions

次のORIDそれぞれに対する質問をファシリテーターが用意し、続けて問いかける形式で実践する。

  • Objective / 事実
  • Reflective / 反応
  • Interpretative / 解釈
  • Decision / 決定

組織行動学者デービッド・コルブ氏による経験学習(Experiential learning)モデル(経験・内省・教訓・実践の4ステップからなるサイクル)に基づいて、ICAInstitute of Cultural Affairs、文化事業協会)のローラ・スペンサー氏が開発し著書『Winning through participation』にまとめた手法。ICAカナダのブライアン・スタンフィールド氏が著書『The Art of Focused Conversation』で発展させた(オーストラリア政府関連プロジェクトの下記ページより)

さまざまな感情を共有できる機会になる

ORIDは、起きた事実に対してのさまざまな感情を出していく点が特徴で、他にあまりない珍しい振り返り手法だと思います。楽しかったことやうれしかったことを共有する振り返り手法はいくつかありますが、悲しいと思ったことや残念だと感じたことを共有できる機会になるのはいいなと思いました。

私たちのチームでは、1人ずつORIDの全てを出しながら振り返りを進めましたが、1人がORを出した後にみんなでIDを考えたり、ステップで区切って自分たちに合うように取り入れることもポイントになりそうです。

実践例などの参考リンク

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考(ブックマン社、2021年)で「内省のフレームワーク」 として紹介されている。オードリー氏も属するg0vが推進する参加型立法プロジェクト「vTaiwan」のベースとなっている。

9. Following up on Action Items

アクションのフォローアップ(Following up on Action Items)というように、行ってきたアクションを次の5つに分類して見直す。

  • Added / 追加されたアクション
  • Doing / 実行中のアクション
  • Pending / 動きがないアクション
  • Dropped / 継続されなかったアクション
  • Closed / 完了したアクション

ブラジルのアジャイル支援企業Caroli.orgが運営する振り返り情報のブログで手法が説明されている。

再開に必要なアクションまでを視野に

他の手法より見直すアクションが多い振り返りです。細かなタスクを振り返るよりも、1カ月から半年ほどの長いスパンで実施したアクションの見直しに向いていると思いました。

私たちのチームでは、Dropped(やったけど、やらなくなったもの。今後も完了しないもの)なアクションはあまり出ませんでしたが、Pending(途中で止まっているもの)から再開した方がいいものや、再開するために必要なアクションを話し合うと、より良い振り返りができそうです。

Following up on Action Itemsを実施した様子
再開した方がいいものを話し合う

実践例などの参考リンク

書籍『ふりかえりガイドブック』でも紹介されている。

10. Small Starfish

実施しているプラクティスを次の3つのエリアに分類することで、プロジェクトの健全性を見積もる。

  • Keep / 続けること
  • More Of / もっとやること
  • Less Of / もっと減らせること

前述のパトリック・クア氏が推奨するStarfish(ヒトデ)という手法があり、これをアレンジしたもの。

More Ofはポジティブな共有

Small Starfishは、チームでやっていることやそこでの気づき、良かったことを共有するのに適しています。KeepやMore Ofを挙げているときは、振り返りをポジティブに進めることができました。Less Ofはネガティブになりがちなので、More Ofを振り返りの最後に持ってくるとよいのではないかと思います。

実践例などの参考リンク

11. Good & New

チームメンバーのそれぞれに、過去24時間以内にあった良い出来事を話させることで、チームの活性化やアイスブレイクにつなげる。

アメリカの教育学者ピーター・クライン氏が開発し、書籍『こうすれば組織は変えられる! 「学習する組織」をつくる10ステップ・トレーニング』で紹介している。

拍手をすると会話が自然と弾む

Good & Newでは、良かったことと気づきを挙げます。共有する内容は珍しいものではありませんが、1人の発表が終わったら「拍手をする」というルールが面白い振り返り手法でした。拍手するだけですが楽しい雰囲気が生み出せて、会話が自然と弾むような進行ができました。

しかし、オンラインでは拍手がノイズキャンセリングによって聞こえなかったりします。オンラインで実施するときには違うリアクションをとったり、スタンプで対応したりといった違うルールを作るとよさそうです。

実践例などの参考リンク

12. MAD SAD GLAD - 喜・怒・哀

メンバーが次の3つの感情面からスプリントを振り返ることで、チームの士気と仕事の満足度を向上させる。

  • MAD / 怒 ... 怒り
  • SAD / 哀 ... 悲しみ
  • GLAD / 喜 ... よろこび

共同作業管理プラットフォームWrikeや、振り返りプラットフォームTeamRetroのブログで紹介されている。

miroのテンプレートでサクッと準備

MAD SAD GLADは、感情にフォーカスして振り返りをしていく手法です。私たちのチームでは、具体的に「楽しかったこと」「イラッとしちゃったこと」「内省したこと」の項目で挙げていきました。

怒りの項目を「イラッとしちゃったこと」にしたのは、できるだけ楽しい雰囲気で振り返りをしたいという方針があったので、いい調整だったと思います。また、振り返りはmiroで行っていますが、MAD SAD GLADはテンプレートとして用意されているので、サクッと準備ができたのもよかったです。

MAD SAD GLADを実施した様子
MADは「イラッとしちゃったこと」に調整

実践例などの参考リンク

Miroに「喜・怒・哀によるふりかえり」のテンプレートがある。書籍『アジャイルレトロスペクティブ』でも紹介されている。

13〜15. 自分たちの手法「FDL+Try+Memo」を見つける

いくつか振り返り手法を試した後に、チームで自分たちに適した進め方を決めたり、必要な振り返り項目を話し合い、継続して行っていく振り返り手法を決めました。 私たちのチームが、既存の手法から最終的にチームに最適の方法にたどり着いた工程をまとめたので、参考にしてみてください。

13. 理想のチームについて考えてもらう

私たちが行ったチームビルディングでは、これまでのスプリントの振り返りを経て、自分たちの理想のチームに必要な要素、そのために今のチームに足りていない要素を話し合って、次のスプリントでやっていくことを決めました。ファシリテーターが、理想のチームがどのようなものかを仮定しておくと話しやすいです。

毎回の振り返りでやる必要はありませんが、チームメンバーが増えたときや、プロジェクトの区切りのいいタイミングで行ってみるといいでしょう。

14. FDL+Try

振り返りの手法をいくつか試してみて自分たちに合っていたのは、楽しく振り返りをするのに最適なFDLでした。問題点や困っていることは毎日の朝会で共有することができていたからです。

また、チームビルディング(上記の13)を行った際に「前回のスプリントより成長していることが、理想の要素である」という意見がありました。そこでFDLをベースとして採用して、そこにTryの項目を追加することで、チームに合った振り返りに近づけたかなと感じています。

このように、自分たちのチームがスプリント期間で行っている他のミーティングの内容を考慮して、振り返りの手法を決めるのもいいのではないかと思います。

15. FDL+Try+Memo

そして現在は「FDL+Try+Memo」という手法を採用しています。

FDL+Try+Memoを実施した様子
FUN・DONE・LEARNにTRYとMEMOを追加

しばらく「FDL+Try」で振り返りを続けるうちに、挙がった項目に対してファシリテーターがさらに深掘りする必要があると感じました。しかし、Fun(楽しかったこと)が少ないときにどうするのか? Done(価値を届けられたこと)やTry(改善・挑戦すること)を達成できなかったのはどうしてなのか? を話し合える場を作っていくのは簡単なことではありません。

そこで、そうした場を少しでも作れるように追加した項目がMemoです。ここには何かあれば書いてもいいし、何もなかったら書かなくていい場所にしました。ボソッとつぶやくように挙げた内容から、より深く振り返りができることもあります。

また、Memoの項目が振り返りの最後のトピックになるので、雑談のきっかけにもなったり、基本的にカジュアルに使われてます。

まとめ ─ チームに合ったやり方で振り返りを進めよう

私たちのチームでは、現在もメンバーが毎週交代でファシリテーターを担当しています。リモートのメンバーもいてオンラインで実施することが多く、ファシリテーターを固定すると振り返りが作業のように進んでしまうこともあるので、そうならないよう交代しています。

とはいえファシリテーション能力には個人差もあるので、それを補う役割りをMemoが担っています。ファシリテーターはMemoの内容からメンバーに話を促したり、質問したりできます。メンバーもFDLやTryの背景を説明したり、FDLのどれでもないことをチームで話したりしたいときには、Memoに追加してファシリテーターに拾ってもらいます。

他に、FDLのベン図に貼られた付箋の偏りから「楽しくやれてますか?」とか「やりたいことは何かありませんか?」と話すこともあります。さらに、ファシリテーターが変わるとアイスブレイクの雰囲気も変わることが、チームで楽しくレトロスペクティブをする工夫になっています。

チームが前に進む限り、振り返りに終わりはありません。そのときのメンバーや状況に合ったスプリントレトロスペクティブを行うことが大切で、完璧な振り返り手法というものもないのだろうと思います。いろいろな手法を試してみて、自分たちに合う振り返りを作り上げてみてください。その際に、私たちのチームで行った手法の感想や雰囲気が少しでも参考になるとうれしいです。

参考文献

Esther Derby、Diana Larsen『アジャイルレトロスペクティブズ』(角征典 訳、2007年、オーム社)

森一樹『アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック』(2021年、翔泳社)

企画・構成・編集:はてな編集部

※振り返り手法の説明や国内での実践事例、関連書籍、オリジネーターによる解説などを編集時に追記していますが、調査が十分でない手法があることはご了承ください(編集部)。

うじたさん近影
金氏 竜哉(かねうじ・たつや、うじた) Twitter: @besburg / GitHub: uji-ta (ujita.k)
2020年9月にイノベーター・ジャパンに入社。フロントエンドエンジニアとして、出版業界向けに特化した独自のCMS「MediaDX」の開発に携わる。
Qiita会社エンジニアブログにも記事を執筆。