新規プロダクト開発チームやスタートアップにおいて、アジャイルの経験を積んだエンジニアが初期メンバーにいれば自然と開発プロセスにアジャイルが取り入れられ、スムーズにプロダクト開発にフォーカスできることがあります。しかし開発組織が拡大して経験の浅いエンジニアが増えてくると、今度はアジャイルのマインドやプラクティスそのものの定着がしばしば課題となります。どうすれば組織が拡大してもアジャイルであり続けられるのか? その実例や情報の共有はまだまだ足りていません。
ドメイン駆動設計(DDD)に関する情報発信でも知られるエンジニアの松岡幸一郎(@little_hand_s)さんは、そうした「組織を対象とした課題」の解決にフォーカスするため、システムコーチングという組織やチームに対するコーチング手法を取り入れました。個人に対するコーチングはかなり知られてきましたが、組織に対するコーチングについては耳慣れない人も多いのではないでしょうか。
松岡さんは実際にシステムコーチングのトレーニングを受け、所属する株式会社ログラスにおいて、チームビルディングをはじめとする関係性に関する課題解決に役立てています。書籍『アジャイルリーダーシップ』においても重要なスキルとして挙げられているシステムコーチングが、組織をアジャイルであり続けさせるためにどう役立つのかを伺いました。
- スタートアップにおける開発組織の急成長に関わる課題
- 開発プロセスの整備と組織へのコーチングは両輪になる
- 今までのチームビルディングにない手応えを感じた
- チームビルディングにおいてより深い言葉を引き出すには
- チーム間がモヤモヤしているときにどう本音を出し合うか
- 組織に対するコーチングの需要は高まっている
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スタートアップにおける開発組織の急成長に関わる課題
── 松岡さんはログラスでEM(エンジニアリングマネージャー)として生成AI/LLM専任チームを牽引しつつ*1、DDD(ドメイン駆動設計)の普及・啓蒙役を務めながら、組織に対するコーチングも実践されています。こうした複数の役割を担うことになった経緯から教えてください。
松岡 私は以前からDDDに興味を持って情報発信しており、ログラスにも創業間もない頃からDDDの外部講師として関わってきました。1年後の2020年に入社することになりましたが、ちょうど開発組織が拡大期に入る頃で、5名だけで1チームだったエンジニアも徐々に増え、2022年には3チームになっていました。
開発に関する文化、例えばDDDの活用、保守性の高いコードやテストに対する意識、技術的負債をこまめに返す方針といったものは、CTO(坂本龍太さん、@http204)をはじめとする初期メンバーの貢献により、1チームの時代に醸成することができました。2チーム・3チームと分かれていくときも、最初に文化を作ったメンバーが中心となってオンボーディングする中で、新しいメンバーにも広げることができました。
── それは開発の文化として継承しているわけですね。
松岡 そうですね。例えばDDDについても、明確にコーディングの制度として定めて必ず私がレビューするといったルール化の案もありますが、主体性をより重要視するためあえて制度化していません。エンジニア同士のウェットな関係の中で「何かあったら相談にのります」という形でアドホックに対応しています。
── 開発組織の拡大によってどういった問題が起きたのでしょうか?
松岡 人の増加に伴って、素早いチームビルディングであったり、人と人との連携をスムーズにさせたりといった必要性がすごく高くなってきていると感じています。
3チームになる頃まではチームごとに役割が分かれておらず、全員で全部のシステムを見ていたものを、プロダクトの拡大に合わせて、チームごとにある程度の役割を分担させるようにしました。しばらくはこれでワークしましたが、役割分担を進めた結果、全体を見渡した開発経験のあるエンジニアがいないチームが出てきて、チームをまたいだ機能開発がやりづらくなってきました。
例えばシステム全体におけるデータの流れについて、マスター管理を担当する人は直接的にはマスターの開発にしか携わらないため、別のチームが担当するデータを加工したり出力したりする部分を含めて、全体でデータがどう使われているかを肌感で分からないエンジニアが増えてきたのです。私が組織に対するコーチングを始めたのも、そういった拡大の時期ですね。
── 会社の成長に伴って開発組織も拡大した結果、プロダクト開発全体のガバナンスをどう図っていくかという課題と理解しました。一方で、ログラスは新しいアジャイルのフレームワークも取り入れていますね。
松岡 はい。FAST(Fluid Adaptive Scaling Technology;流動的適応スケーリング技術)には、その課題に対するスケール可能な開発フレームワークとして現在取り組んでいます。
開発プロセスの整備と組織へのコーチングは両輪になる
── アジャイルのフレームワークと組織へのコーチングをともに実践しているということは、双方が補完的な関係にあるということでしょうか。
松岡 図で説明すると分かりやすいと思うのですが、システムコーチングのトレーナーの方が執筆した記事では、プロジェクトの成否に係る要因を「組織」「個人」と「論理(コト)」「感情(ヒト)」をかけ合わせた四象限に整理しています。
組織 | 個人 | |
---|---|---|
論理(コト) | 戦略・オペレーション・人事制度 | 知識・スキル・経験 |
感情(ヒト) | 関係性・カルチャー | モチベーション・気持ち |
この図で、組織における要因のうち論理(コト)に関わる「戦略・オペレーション・人事制度」に関してはノウハウや知見が手に入りやすく、書籍であったりマネージャー向け研修であったりで対応できます。スクラムやFASTといった開発プロセスの話もこの領域です。
一方で、組織における感情(ヒト)に関わる要因である「関係性・カルチャー」に関しては、着目はされていても手段が属人的であったり、再現性がなかったりする領域です。関係性の問題であるはずなのに、組織の制度や、個人の気持ち(1on1など)で解決するアプローチが取られ、少しずつは前進しても時間が掛かったり、改善はするものの抜けないトゲのように引っかかるものが残ったりといったことがあります。
また、ログラスでは組織のカルチャーを大切にしており、全社レベルでは多くの施策を実施しています。とはいえ全社で手を打っていても、チームなどの細かいレベルでは別の課題が生じることがあります。
組織がパフォーマンスを発揮する上で、人と人の関係性に課題があるのなら、きちんと感情(ヒト)に関わる要因を特定して改善する方が速いし、根本的な解決もできるはず。今まさに成長していて変革期でもあるログラスにおいて、関係性の課題解決が必要な場合にはシステムコーチングを実施しています。
もちろん、要因が個人の論理(コト)に関することならそれに見合った取り組みが必要だし、個人の感情(ヒト)が要因なら個人を対象としたコーチングが有効です。
── この四象限はとても分かりやすいです。確かに組織における感情、つまり人間の関係性であったりカルチャーというのは、重要性が語られつつあまり具体的な解決手段が共有されていない領域ですね。
松岡 言ってしまえば、関係性の課題はどこにでもあるものです。会社だけでなく家族にも起こりえることで、実際にシステムコーチングはビジネスだけでなく、家族などのプライベートの関係性も対象にしています。資格を持ったシステムコーチにもプライベートな関係性をメインに活動している方がいます。
今までのチームビルディングにない手応えを感じた
── それでは改めて、システムコーチングとはどのようなものか、簡単に教えていただけないでしょうか。
松岡 私が実践しているシステムコーチングは、正式にはORSC(Organization & Relationship Systems Coaching;組織と関係性のためのシステムコーチング)といい、チームや部署などの組織に対するコーチングの手法のことです。グループや組織において、そこにいる複数の人達の「関係性」に着目して、アプローチするのが特徴です。
チームビルディングであったり、複数のチーム間における協力関係の改善だったり、ハレーションの解消など、さまざまな場面で適用することができるものです。チームのメンバーひとりひとりに対してではなく、複数のメンバーに対して直接コーチングセッションを行うことで、チームとしての課題解決を図っていきます。
例えばチームビルディングの段階で話し合いをしても、どうしても「こういうチームにしたいよね」という表面的で聞こえのよい言葉だけで終わってしまうことがあります。システムコーチングでは価値観や思いをより表現できる場を作ることにより、メンバーみんなが「自分の思っていることを言えた」という手応えを感じることができます。
そういう自分達の気持ちに気づき、関係性における課題を認識したり、そこに向かい合って前に進んだりするための技術を、アカデミックなロジックに基づいて体系立てたものがシステムコーチングです。
── 松岡さんは、どういった経緯でシステムコーチングに出会い、学ぶことになったんでしょうか。
松岡 まず個人を対象としたコーチングは、前職時代に「部下との1on1」研修で知りました。その後、コロナ禍で迷うことがあり、その研修のコーチに改めて個人でコーチングをお願いするようになったんですね。 その中で「組織向けのコーチングがある」と聞いて、興味を持ったので受けたトレーニングがCRR Global JapanのORSCプログラムで、最初は2日間の基礎コースでした。
基礎コースの受講直後に、会社の中でチームビルディングのワークショップをやってみたところ、今までのチームビルディングにはない手応えを感じたんですね。それで、まだよく分からないけれど奥深くで面白そうだと思ったので、さらに12日間の応用コースにも申し込みました。
2023年には9カ月かけて実践コースを受講し、ORSCC(Organization & Relationship Systems Certified Coach)というシステムコーチングの認定資格を取得しました。かなり時間もかかりましたが、それに見合った成果はあったと思います。
チームビルディングにおいてより深い言葉を引き出すには
── 実際のシステムコーチングにどのように取り組んでいるのかお聞きしたいのですが、例えばチームビルディングのワークショップはどのように実施するのでしょうか。
松岡 チームビルディングでよく実施されるワークショップとして、DTA(Designing Team Alliance;意図的な協働関係の構築)というものがあります。これは「チーム(関係性)をどのような文化にしたいか」などを話し合い、最後に普段の活動に向けての「チームの雰囲気・行動指針」としてまとめるというものです。
このワークショップでは、まず物事を3つの現実レベルで捉えて整理し、それらを行き来しながらメンバーそれぞれの価値観を深掘りしていきます。
- 合意的現実レベル
- 目に見えて合意できる事実・行動・計画
表面的で誰でも合意でき、一般的に「こういうチームにしたい」ときに出てきがちなもの - ドリーミングレベル
- 想い・気持ち・願い・恐れ・価値観
その人の思いや固有の価値観、逆に「これは嫌だ」というような「人となり」が見える部分 - エッセンスレベル
- 直感・言葉に表せない体感覚・雰囲気
言葉にできない身体感覚的・直観的なもの
普通にチームビルディングで、「どんなチームにしたいか?」というディスカッションをすると、合意的現実レベルのものになりがちです。言葉を選ばず言うと上っ面というか、言葉には表現されていても表面的で、本当に心理的に腹落ちはしていないことってたまにありますよね。でも、メンバーからドリーミングレベルの言葉が出てくると、メンバーの価値観が反映された、気持ちの乗った目標や方向性作りになります。
そこでエッセンスレベルを活用します。これは例えば大きなミスを犯したときに「さーっと血の気が引く」ような感覚で、言葉にできなくとも感情を揺さぶるような、同じ体験をしたことがあれば共有できるようなものです。例えば「どんなチームにしたいか?」という問いかけに対して、ジェスチャーで表現してもらいます。ジェスチャーは体を動かすのでエッセンスレベルのもので、身体感覚からの気づきを呼び起こしてくれます。
次に、そのジェスチャーを言葉にしてもらいます。言葉で表現することで、表面的には思ってもみなかった価値観に気付くことが多く、本質的な言葉やよいアイデアが出てきます。これがドリーミングレベルです。
こういったワークショップの進め方をシステムコーチングでは「ツール」と呼びますが、トレーニングでいくつか学んだツールを会社の自分たちのチームで行ってみたところ、普段なら出てこない言葉が出てきてとても楽しかったんです。もともと「ふりかえり」はよくやるチームなんですが、それまでになかった言葉がポンポン出てきたんですよ。
ちなみに応用コースを学んだ際に、このツールの背景にある3つの現実レベルのモデルを学んだことが腑に落ちて、システムコーチングに傾倒していくきっかけにもなりました。
── ワークショップ自体もですが、トレーニングの段階を経て理解が深まって行くプロセスも興味深いです。
松岡 このツールを学んだ段階で、仕事に限らず日常でも取り入れられるなと思ったんですね。例えば、プレゼンテーションで聴き手をうまく引き込むのはドリーミングレベルとエッセンスレベルの要素がうまく入っているからだなとか。
人の認識や体感の仕組みをもとにすると、行動やコミュニケーションをこんなふうに整理できることに驚くと同時に納得したんですね。さらに応用コースで背景を知ると、適用できる場面がより広がった感じがありました。
チーム間がモヤモヤしているときにどう本音を出し合うか
── すでに活動しているチームのメンバー同士や、チーム間の課題についてのツールもあるんでしょうか。
松岡 アライメントコーチングという、人や組織の方向性を揃えるためのツールがあります。
実際に、あるプロジェクトの中で、メンバー間の期待値が合わず、プロジェクト自体は成功したものの、終わってからもエンジニア同士でお互いにモヤモヤした感覚を抱いたままになってしまったことがありました。そうしたネガティブな気持ちは、簡単には表に出しづらいもので、それを出せるのは相当に心理的安全性が高い関係性ができている場合です。
そこで、メンバー全員にコーチングセッションに来てもらって、それぞれの思っていることを、私に向かって言ってもらいました。その時にルールを設けて、あくまでも私に向かって言うということと、自分を主語にして話してもらうようにしました。特に後者については「あなたはこうだった」と言うのと、「私はこれが残念でした」と言うのでは、受け取る側の温度感がまったく変わるんです。
こうしたルールの元に、メンバーが順番にポンポンと言ってもらうと、最初は様子見のジャブみたいな内容だったのが、少しずつ「この場だから言うけど……」みたいな感じの本音が出てきて、お互いに本音を吐き出してくれます。表に出ていない本音が出ることでモヤモヤは一気に解消に向かいますし、これはまさに心理的安全性が作られていくプロセスだとも言えます。
── 本音が飛び出してくると言い争いになってしまいませんか。
松岡 コーチがファシリテーションしながら、コーチングのスキルを持って接することで、うまくケンカにならないように進めていくことができ、より皆が話しやすくなって、相互の認識のズレを解消したり、深層にある心理や価値感を理解したりすることができます。
システムコーチングの進め方のフレームワークもあるし、コーチ自身の適性や能力もあります。アライメントコーチングの本音を話してもらう場も、実施するタイミングの見極めが必要となりますから。
── 腹に抱えたものを口に出すだけだと決定的な齟齬が生まれてしまいかねませんが、そうさせない技術もシステムコーチングのトレーニングで学べるんですね。
松岡 はい。これまでなら個別にメンバーにヒアリングして、リーダーが外堀を埋めるようなミーティングをして、ジワジワ時間を掛けて解消していくような課題でしたが、1時間のシステムコーチングのセッションでスッキリするので、かなりインパクトがありましたね。
── Googleによるチームの生産性に関する研究によって「心理的安全性」という言葉と、その重要性がよく知られるようになりました。ただし、心理的安全性を高めるための具体的な取り組みにまで踏み込んでいる企業は、まだ少ないように感じています。
松岡 システムコーチングは、心理的安全性を高めるために効果的なもののひとつです。ただし、あくまで心理的安全性という山を登るための、登り方のひとつにすぎません。
組織に対するコーチングの需要は高まっている
── 企業において組織にコーチングを実践する事例は増えていくでしょうか?
松岡 個人に対するコーチングへの理解は、1on1ミーティングの普及とともに広がってきたように思います。その一方で、マネージャーは10人の部下がいると、ひとり1時間としても10時間を1on1に割く必要が出てきます。結果として「1on1疲れ」という言葉も聞かれるようになっています。
また、そうやって1on1を頑張っても、解決できるのは個人の感情(ヒト)の課題です。組織の感情(ヒト)の課題を解決するための取り組みが必要という流れになっていますから、組織やチームに対するコーチングはこれからさらに求められるようになるでしょう。
国際コーチング連盟(ICF=International Coaching Federation)でも2020年に「ICFチームコーチング・コンピテンシー」を定義しており、チームコーチングの需要は高まっていると思います。システムコーチングもそのチームコーチングの一派という位置づけです。
▶️ 一般社団法人国際コーチング連盟日本支部「ICFが定めるチームコーチングのコンピテンシー」
ただし、残念ながら日本で提供されているチームコーチングのトレーニングは、個人のコーチングにさまざまなサービスやトレーニングがあって接しやすい環境になっていることとは対照的な状況です。
── 組織へのコーチングはまだ黎明期なんですね。
松岡 私がシステムコーチングについて情報発信しているのも、会社でも家族でも「関係性に関わる課題」があったときにシステムコーチングという手段があると知ってもらいたいからです。コーチングを受けて解決できることもあるでしょうし、方法があると知るだけで救いになる人もいるはずです。
私が取得したORSCCを持っている方も、資格が得られる実践コースを習得するハードルがかなり高いこともありますが、まだそれほど多くありません。微力ながらシステムコーチングの認知度を高めることが、社内外でシステムコーチングを行っているモチベーションになります。
── ログラスはこれからチームコーチングにどう取り組んでいくのでしょうか。
松岡 ログラスとしてはこれから現在の事業をスケールさせ、新規事業をどんどん作っていくことも目指しているので、さらに人が必要となるし、スケールに耐えうる組織作りに今まさに取り組んでいます。そのためにも、今までの成長を支えてきた開発組織のカルチャーを引き継いでいくことが必要で、そこでシステムコーチングが武器のひとつになるといいなと思っています。
同時にシステムコーチングの活用がもっと広がっていけば、社内でのコーチングセッションに外部のコーチを呼ぶことがやりやすくなります。現状では、社内のチームが増えたことで社内のコーチングを私が全て見ることができなくなっていますから。
将来、ログラスが大きな企業になったときに「成長の影にはシステムコーチングがあった」と言われるようになればいいなと思っています。
取材・構成:青山 祐輔(@buru)
編集:はてな編集部
※「ORSC®」および「システムコーチング®」は、CRR GlobalおよびCRR Global Japanが所有する登録商標です。
※ 一部、システムコーチングの技術に関しては『人と組織の進化を加速させる システム・インスパイアード・リーダーシップ Systems Inspired Leadership』(パブフル、2023年)を参考にしています。
- 松岡 幸一郎(まつおか・こういちろう) X: @little_hand_s
- 早稲田大学大学院の経営システム工学専攻を修了後、日本アイ・ビー・エムに入社。大手銀行向け業務アプリケーション開発に携わる。4年間在籍後ビズリーチに転職し、社外サービスや社内業務システムの企画・開発を担う。またドメイン駆動設計(DDD)についてブログなどで発信し、勉強会も数多く主宰。DDDの普及活動を通じて知り合ったログラスに転職し、EM(エンジニアリングマネージャー)を務める。
ブログ: little hands' lab
YouTube: little_hand_s DDD / Agile Channel